生成AIと著作権の基本

ChatGPTやGeminiなどの生成AIが急速に普及し、業務効率化のために導入を検討する企業が増えています。しかし、そこで必ず直面するのが「著作権」の問題です。

「AIで作った画像は誰のもの?」「既存のキャラクターに似てしまったら権利侵害になる?」

こうした不安を解消せず見切り発車で導入することは、企業にとって法的リスクとなります。本記事では、AIコンサルティングの視点から、「生成AIと著作権」の基本ポイントを解説します。

■1. 著作権は「学習」と「生成」で分けて考える

生成AIの著作権問題を整理する際、もっとも重要なのは「開発・学習段階」と「生成・利用段階」を分けて考えることです。

① 【学習段階】原則として自由 日本の著作権法(第30条の4)では、AIの開発や学習のために著作物(文章や画像など)を利用することは、原則として許諾なしで行えるとされています。 これは「情報解析」を目的とする場合、著作権者の利益を不当に害しない限り、自由にデータを読み込ませて良いという、世界的に見てもAI開発に有利な条文です。

② 【生成・利用段階】人間と同じルールが適用 注意が必要なのはこちらです。AIを使って出力したコンテンツを公開したり、商品を販売したりする場合、それは通常の創作活動と同じルールで判断されます。 つまり、「AIが作ったから著作権侵害にはならない」という免罪符は存在しません。

■2. 著作権侵害になる「2つの要件」

AI生成物が他人の著作権を侵害していると判断されるには、主に以下の2つの条件(類似性と依拠性)を満たす必要があります。

・類似性(似ているか) 生成されたものが、既存の著作物と「本質的な特徴において似ている」こと。

・依拠性(元にしているか) 既存の著作物を知っており、それを元にして作成したこと。

AIの場合、プロンプト(指示文)に「〇〇(有名なキャラクター名)風に描いて」と指示を出して生成した画像は、「依拠性がある」とみなされる可能性が高くなります。知らず知らずのうちに特定のアニメや画風を模倣してしまうリスクがあるため、出力後のチェックは必須です。

■3. AIで作ったものに「著作権」は発生するのか?

逆に、「自社がAIで作ったコンテンツ」を他社に勝手に使われないよう、権利を主張できるのでしょうか?

これについては、文化庁の見解などを含め、現在は以下のように解釈されています。

・AIが自律的に生成したもの(AI完結) → 原則として著作権は発生しません。(誰でも勝手に使えてしまう可能性があります)

・人間が創作的寄与をしたもの(AI+人の手) → 長文のプロンプトを工夫したり、生成後に人間が加筆・修正を行ったりした場合は、著作権が発生する可能性があります。

単に「ボタンを押して出しただけ」では、自社の資産として守れない可能性がある点は留意しておくべきでしょう。

■4. 企業がとるべき3つの対策

AIを安全にビジネス活用するために、企業は以下の対策を講じる必要があります。

  1. ガイドラインの策定 「機密情報を入力しない」「特定の作家名や作品名をプロンプトに入れない」といった社内ルールを明確にします。

  2. Human in the loop(人の目による確認) AIが出力したものをそのまま世に出すのではなく、必ず人間の目で「既存の何かに酷似していないか」を確認するフローを組み込みます。Google画像検索などで類似チェックを行うのも有効です。

  3. 生成プロセスの記録 万が一トラブルになった際に備え、どのようなプロンプトを入力して生成したのか、ログを保存しておく体制を整えましょう。

■まとめ

生成AIは強力な武器ですが、法的な理解なしに使うことは企業にとって大きなリスクとなります。

・学習は自由だが、生成・利用は慎重に

・「既存作品に似ていないか」を必ずチェックする

・AI生成物には著作権が発生しない場合がある

これらを理解した上で、正しくツールを活用することが企業の成長につながります。 株式会社フクイトでは、AIの技術的な導入支援だけでなく、こうした運用面でのリスク管理やガイドライン策定についてもご相談を承っております。

「自社で安全にAIを使うにはどうすればいい?」とお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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